会長からのメッセージ

会長就任のご挨拶

日本糖質学会会長

石田 秀治

 今年度から 2 年間(2021 年 7 月から 2023 年 6 月まで)、日本糖質学会の会長を仰せつかりました。どうぞ宜しくお願いします。 糖質学会の活動の柱に年会の開催があります。この 2 年間は、コロナ禍により年会の開催が危ぶまれまし たが、昨年は誌上開催(東京、小川温子先生と稲津敏行先生)、今年はハイブリッド開催(鹿児島、隅田泰生 先生)と、無事にバトンが繋がりました。両年会の世話人の先生方、並びに門松前会長を始めとする理事会 メンバーの方々に、改めて御礼申し上げます。来年は、三善英知先生のお世話により大阪で開催されます。 コロナ禍の状況には予断が許されませんが、一昨年までと同様、いやそれ以上の年会になりますよう、会員 の皆様のご協力を宜しくお願い致します。 今年(2021 年)は、「二刀流」が注目を集めた年でした。本会は、1978 年に炭水化物研究会を前身として 設立されて以来、1989 年に学会組織に移行した後も、「化学」と「生物」を二本柱として発展してまいりま した。二刀流の価値を何より認識している学会ですので、今後も二刀流の良さを発揮しながら本会が発展し ていくことを祈念しています。一方、学問の発展に伴って、従来の枠組みを超えた新しい研究が発展してい ることも承知しています。その様な新しい潮流にも対応していければと思います。 今年、オリンピックとパラリンピックが開催されましたが、来年 2 月には冬季オリンピックも開催されま す。また、スポーツの話題で恐縮ですが、ノルディック複合(スキーの距離競技とジャンプ競技の複合)の王者は「King of Ski」と呼ばれるそうです。その理由は、相容れない 2 つの要素(距離競技に求められる持久力とジャンプ競技に求められる瞬発力)を併せ持たなければ得られない栄誉だからだそうです。学会活動に置き換えると、距離競技は地道な人材育成であり、ジャンプ競技は社会にアピールする研究の発展かと思います。前者に関して言えば、本会には奨励賞、ポスター賞、さらに優秀講演賞が設けられており、若手研究者の奨励、支援を進めています。若手の皆様には、これらの賞に積極的にご応募頂き、本会の益々の発展 に貢献頂きたく思います。後者のトピックとしては、門松先生が中心となって進めてこられた「Human Glycome Project」の文部科学省ロードマップ 2020 への採択があります。このプロジェクト自身は 10 年を 越える地道な取り組みではありますが、これまでの研究の積み重ね(助走)から社会へのアピール(ジャン プ)を果たした事を考えると、ジャンプ競技に例えることができると思います。大ジャンプだと思います。 学会として、今後も人材の育成と研究の発展をさらに進め、「学会の王者」を目指したいと思います。

ヒューマングライコームプロジェクトが正式に文科省ロードマップに掲載されました。

日本糖質学会のみなさま

9月30日に「ヒューマングライコームプロジェクト」が正式に文科省ロードマップに掲載されました。これまでたくさんの応援とご助言をいただきありがとうございました。「カミオカンデ」や「すばる」などと並ぶような国家プロジェクトとして、生命科学のプロジェクトが掲載されることは大きな喜びであり、我が国のこれからの糖鎖科学、生命科学の新しい展開のきっかけになるものと期待できます。むしろこれからが本番となりますが、引き続きよろしくお願いいたします。

〔URL〕

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/toushin/1388523_00001.htm

日本糖質学会会長

門松健治

日本糖質学会会員の皆様へ 〜糖質サプリメントについて〜

 最近、糖鎖を主成分とする多種のサプリメントが病態の改善や健康の維持、増進に有効であるとして販売されております。その宣伝パンフレットには私達の関係する国内学会のプログラム ( 公開シンポジウム、糖鎖の特集記事など)などが利用され、あたかもこれらのサプリメントの効能が糖質研究者によって裏付けられているような誤解を与えるものもあります。

 私たちは、日本糖質学会の事業がこれらサプリメントの効能宣伝に誤った仕方で利用されるおそれがあり、糖鎖研究の今後の発展にとって好ましくない、と判断される場合には、警告を出すことも考えております。日本糖質学会の会員の皆様におかれましては、この業界への関与によって誤った宣伝に利用されぬよう、十分留意されますようお願いいたします。

 なお、サプリメントの医薬理作用については、その実証と科学的根拠の確定がこれからの重要な実行課題として待たれているという現状や、思わぬ副作用が生じることもありうるという可能性に鑑み、業界およびユーザーからの相談があった場合には、以上のことをふまえて慎重かつ的確に対処されますよう、お願い申し上げます。

                                           平成20 年6月11 日

 ご参考までに、米国糖質学会 (Society for Glycobiology)のアナウンスを付記いたします。

Glyconutrient Disclaimer

The Society for Glycobiology is a scholarly society devoted to furthering knowledge of the functions of sugar molecules in biology and medicine. As world leaders in academic glycobiology, the Society’s members may receive requests for information about health benefits of nutritional supplements, including but not limited to so-called glyconutrients, glyconutritionals, or other similarly named products. The Society does not endorse use of these or other nutritional supplements, and is not associated with any manufacturer or supplier of “glyconutrients”. The Society urges persons having questions regarding nutritional supplements to consult a physician before initiating use of any nutritional supplement claiming to enhance health or treat disease.