日本糖質学会

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会長からのメッセージ

会長就任のご挨拶

日本糖質学会会長
門松 健治(名古屋大学)

 この度日本糖質学会会長を仰せつかりました。これから2年間、会員の皆様にはどうぞよろしくお願い申 し上げます。

2000 年の頃を境に、日本の研究は質・量ともに横ばいあるいは下り坂にあります。一方、欧米を中心に他国は長足の伸びを示していますので、相対的に我が国の科学のプレゼンスは現在、史上最悪であるといって過言ではありません。日本から外国への留学数も同じ頃から下降線を描きます。トップ 10%論文で見ると、 国際共同研究の比率は欧米諸国が年々急激な上昇を示し 70%前後に達するのに対して、日本は50%程度です。研究費はというと、欧州のトップであるイギリス、ドイツより日本の研究費は多いのであり、システムに大きな問題を抱えていると思われます。2000年より前に育った日本人研究者によってたくさんのノーベル賞がもたらされましたが、現状を見誤っては後顧の憂いを残すことになります。とても深刻です。 この中にあって、糖鎖科学はどうか。ご存知のように糖鎖関連遺伝子の6割を日本人研究者は同定し、現在も日本の糖鎖科学の論文数、被引用回数は米国に伍する強さがあります。がん、神経、脂質などの学術分野と比較しても、圧倒的です。この国のかたちを考えたとき、糖鎖科学は鎖国時代の坂本龍馬のごとく、この国を救う役割を果たす力を持っていると思うのです。

日本糖質学会は 1978 年に設立された炭水化物研究会を前身とし、1989 年に現在の学会組織に移行しまし た。1978 年に大阪で行われた第1回糖質シンポジウムから今年 8 月の名古屋大会まで、これまでに計 38 回 の年会が開催されています。また、International Carbohydrate Organization(ICO)と International Glycoconjugate Organization(IGO)を初めとする複数の国際組織とも密な連携を取り、我々は基礎分野で 最も国際連携の活発な団体の一つとなっています。また、国内でも日本糖鎖科学コンソーシアム(JCGG)、 多糖の未来フォーラムなどの多数の学会・集団と連携して、糖鎖科学の振興を進めてきました。このような 歴史と環境の中で、我々は何をすべきかを考える必要があります。 最近ノーベル生理学医学賞を獲得した 3 名の日本人研究者の、受賞のきっかけとなった論文の発表時年齢 (推定)と掲載雑誌は以下のとおりです。山中伸弥先生(43 歳、Cell)、大隅良典先生(48 歳、FEBS Letters)、 本庶佑先生(50 歳、EMBO Journal)。 また、山中先生、大隅先生が自分の分野で受賞されたのと対照的に、 本庶先生は免疫学を中核にしてがん分野に攻め込みました。研究への飽くなき情熱、独自の分野を開拓する気概、他分野に踏み込む勇気。こうしたものが、これからも日本の研究者に求められているのだろうと思います。

学会の意義は

(1)個々の研究者を鼓舞する材料・情報を共有すること、(2)Human Glycome Project の ような国家的取組が必要ならそれを組織として動かすこと、この2 点に尽きると思います。最後まで本稿を お読みいただいた貴方。貴方こそ、次のノーベル賞です。貴方を支援できる組織となれるように学会は努力します。

 

ヒューマングライコームプロジェクトが正式に文科省ロードマップに掲載されました。

日本糖質学会のみなさま

9月30日に「ヒューマングライコームプロジェクト」が正式に文科省ロードマップに掲載されました。これまでたくさんの応援とご助言をいただきありがとうございました。「カミオカンデ」や「すばる」などと並ぶような国家プロジェクトとして、生命科学のプロジェクトが掲載されることは大きな喜びであり、我が国のこれからの糖鎖科学、生命科学の新しい展開のきっかけになるものと期待できます。むしろこれからが本番となりますが、引き続きよろしくお願いいたします。

〔URL〕

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/toushin/1388523_00001.htm

日本糖質学会会長

門松健治

 

日本糖質学会会員の皆様へ 〜糖質サプリメントについて〜

 最近、糖鎖を主成分とする多種のサプリメントが病態の改善や健康の維持、増進に有効であるとして販売されております。その宣伝パンフレットには私達の関係する国内学会のプログラム ( 公開シンポジウム、糖鎖の特集記事など)などが利用され、あたかもこれらのサプリメントの効能が糖質研究者によって裏付けられているような誤解を与えるものもあります。

 私たちは、日本糖質学会の事業がこれらサプリメントの効能宣伝に誤った仕方で利用されるおそれがあり、糖鎖研究の今後の発展にとって好ましくない、と判断される場合には、警告を出すことも考えております。日本糖質学会の会員の皆様におかれましては、この業界への関与によって誤った宣伝に利用されぬよう、十分留意されますようお願いいたします。

 なお、サプリメントの医薬理作用については、その実証と科学的根拠の確定がこれからの重要な実行課題として待たれているという現状や、思わぬ副作用が生じることもありうるという可能性に鑑み、業界およびユーザーからの相談があった場合には、以上のことをふまえて慎重かつ的確に対処されますよう、お願い申し上げます。

                                           平成20 年6月11 日

 ご参考までに、米国糖質学会 (Society for Glycobiology)のアナウンスを付記いたします。

Glyconutrient Disclaimer

The Society for Glycobiology is a scholarly society devoted to furthering knowledge of the functions of sugar molecules in biology and medicine. As world leaders in academic glycobiology, the Society's members may receive requests for information about health benefits of nutritional supplements, including but not limited to so-called glyconutrients, glyconutritionals, or other similarly named products. The Society does not endorse use of these or other nutritional supplements, and is not associated with any manufacturer or supplier of "glyconutrients". The Society urges persons having questions regarding nutritional supplements to consult a physician before initiating use of any nutritional supplement claiming to enhance health or treat disease.